アンコーナ ~アドリア海の自然と文化に恵まれた州都~

トライアーノ凱旋門から聖チリーアコ大聖堂をのぞむ


アンコーナは、ギリシャ語の「肘(ひじ)」という言葉に由来します。 

コーネロ山 Monte Conero が海に突き出す地理的な様子がそのような表現を生んだのでしょう。

紀元前4世紀、シラクーサ(シチリア島の街)のギリシャ人たちによって造られましたが、後のローマ皇帝トライアーノの支配下時に最も栄えました。

今も町に残る トライアーノ凱旋門 Arco Trionfale di Traiano はその皇帝を称えて建てられたものです。


中世には、海路交易の支配権をめぐってヴェネツィアと戦うほどの海運都市として発展しましたが、1600年の終り頃から海の交易商人達は困難な時代を迎え、ともにアンコーナも衰退。

ローマ法王クレメンテ12世が、1732年にアンコーナ港を自由港と認めた後に復活を遂げました。


その当時の様子は、現在も残る素晴らしい芸術作品の数々が物語っています。

古代から重要な港として君臨したアンコーナ港。 現在でもアドリア海の最も重要な港のひとつとしてその役を担っています。

おもな見どころ


【プレビシート広場】Piazza del Plebiscito

ティツィアーノ作「十字架上のキリスト図」、グエルチーノ作「受胎告知」等、必見の作品がある 聖ドメーニコ教会 S. Domenico、

14世紀の政治の中心であった パラッツォ・ デル・ゴヴェールノ Palazzo del Governo (政庁)、旧ボスダーリ邸 Palazzo Bosdari 内にある ポデスティ美術館 Pinacoteca Podesti など。


【聖フランチェスコ・デッレ・スカーレ教会】S. Francesco delle Scale
14世紀~18世紀に建立。階段の頂に教会がそびえ建つ見事な配置。

多くの銅像と浮き彫りで飾られたヴェネツィアゴシック様式の正面 扉は、1459年ジョルジョ・オルシーニ・ダ・セベニーコ作。

教会内にはロレンツォ・ロット作の「聖母マリアの昇天」の大祭壇画や、ペッレグリーノ・ティバルディの作品があります。

【聖チリーアコ大聖堂】Cattedrale di S. Ciriaco
昔はギリシャ神殿があった、眺めのよいグアスコの丘の頂にある大聖堂。 11世紀~13世紀に建立。

ロマネスク様式、ゴシック様式、さらに東方芸術等、様々な文化の影響を受けた建築物です。

聖母マリアの礼拝堂にある聖壇はヴァンヴィテッリ作。 地下礼拝堂 Cripta には、チリーアコ聖人をはじめ、各聖人たちの遺骨と遺品が納められています。


【ロッジャ・デイ・メルカンティ】Loggia dei Mercanti
ロッジャ通り Via della Loggia にある15世紀の建築物。

商人達が取引や行商をする際、雨風を防ぐために野外に造られた屋根つきの外廊。

その後壁が造られて普通の建物となりました。 現建物の正面はジョルジョ・オルシーニ設計で、1451年~1459年に建立されたもの。


【モーレ・ヴァンヴィテッリアーナ】Mole Vanvitelliana
1733年ヴァンヴィテッリ設計の要塞。

ヴァンヴィテッリはカセルタ (ナポリ近郊)の大宮殿を建立した有名建築家。


【デッレ・ムゼ劇場】Teatro delle Muse
マルケ州オペラを代表する劇場。 オペラ以外にも、年間を通して様々な演劇やコンサートが開催されます。


【その他】
歴史的重要建築物として挙げておきたいのは、4世紀~5世紀に建立された 聖マリア教会 Santa Maria della Piazza、

現アンコーナ大学の一部になっている パラッツォ・デイ・ アンツィアーニ Palazzo degli Anziani、

15世紀建立の 聖アゴスティーノ教会 S. Agostino、18世紀ヴァンヴィテッリが 建てた イエスの教会 Chiesa del Gesù、

115年にアポッロー ドロ・ディ・ダマスコが設計したトライアーノ凱旋門、1560年にペッレグリーノが造った噴水、

2世紀に建立された古代ローマ時代 円形劇場の遺跡 Anfiteatro Romano 等。

戦没者記念碑がある パッセット Passetto は、海を眺めながらの散歩が楽しめます。

美術館&博物館


【国立マルケ州考古学博物館】Museo Archeologico Nazionale delle Marche
フェレッティ邸内。

紀元前9世紀~5世紀の鉄器時代の古墳からの出土品や旧石器時代、新石器時代、銅石併用時代の出土品。

ペルゴラの有名な金メッキのブロンズ像も保管されています。


【アンコーナ市立絵画美術館(フランチェスコ・ボデスティ市立絵画美術館&近代美術館)】Pinacoteca Comunale “Francesco Podesti” e Galleria d'Arte Moderna

ティツィアーノ作「聖母子像と聖人達」、カルロ・クリヴェッリ作「聖母子像」の他、ロレンツォ・ロット、セバスティアーノ・デル・ピオンボやコッラード・カーイの作品の展示。

アンコーナの周辺


【コーネロ山州立公園】Parco Regionale del Monte Conero
アンコーナのすぐ南に位置。

同公園内のコーネロ山(572m)はアドリア海の絶景ポイントです。

豊かな自然に恵まれた環境で、1000種類以上にも及ぶ野生植物が生息しています。 

アウトドア・アクティヴィティも盛んで、「二人姉妹のビーチ」 を目指す気軽なハイキングが人気。


【ポルトノーヴォ】Portonovo
コーネロ山州立公園内。 美しい入り江でよく知られています。

地中海灌木地帯の中で、今もなお、豊かな自然が大切に守られてきたエリアです。

1000年前後に建立された 聖マリア教会 Santa Maria di Portonovo も訪れる価値があるでしょう。

カルチャー&グルメ・イベント


4月 アドリア海の航海展覧会

6月 国際漁業見本市

11月 ジャズ・フェスティバル

11月~翌年1月 オペラ・シーズン

ワイン&フード


【郷土料理】
海の幸の料理が豊富で、とりわけ ブロデット Brodetto (魚介類のシチュー)が有名。

又、この地方の名物料理としては、 ヴィンチズグラッシ Vincisgrassi (ラザーニャの一種)、 ルマーケ・イン・ポルケッタ lumache in porchetta (野生のウイキョウ草のハーブを入れて煮込んだかたつむりの料理)、 

ベックーテ beccute (小さな菓子パンの一種で、とうもろこしの粉、松の実、スルタナ種の種無しブドウで作られます)などがあります。


【ワイン】
D.O.C.(保証付き)のワイン醸造も盛ん。 

コーネロ山では赤ワインの ロッソ・コーネロ Rosso Conero、カステッリ・ディ・イエージの丘ではラクリマ・ディ・モッロ・ダルバ Lacrima di Morro d'Alba、

白ワインはカステッリ・ディ・イエージの ヴェルディッキオ Verdicchio が有名です。

おすすめリンク


Associazione Turistica Riviera del Conero コーネロ周辺の観光ガイド


地図


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