↑マルケ州出身の大人気、料理系ユーチューバー、ベネデッタさんが作るマルケ州の味、ヴィンチスグラッシ


西にウンブリア州、南にはアブルッツォ州、そして北側にエミリア・ロマーニャ州と隣接するマルケ州。

豊かな食文化を築いてきた背景には、これら個性的な地域から多大な影響を受けたことがうかがえます。

さらにマルケ州の東側は地中海テイストあふれるアドリア海に面し、さらに内陸は山岳地域の食の特色をも持ちあわせています。

海と山の自然からの恵みをも存分に受けているマルケ州のワイン&フード、これらを味わうことはマルケ州の風土や文化、歴史までにも触れることになるでしょう。

新鮮で質の高い食材を使うことはマルキジャーニ(マルケ州の人々)料理の最大の特徴。

地方の伝統と特産物を活かすことも重要な料理の要素で、それぞれの地域が独自の伝統料理を持っています。

マルケ州では方言の数と同じぐらい、郷土料理の多種多様さがあると言えるでしょう。

きのこ、木の実、ハーブ、猟による獲物、マルケ州を代表する高級食材トリュフなど、たくさんの食材が自然の中から集められます。

アドリア海に揚がるフレッシュなシーフードもマルケ州の名物料理には欠かせません。

ワイン


豊富な郷土料理に欠かせないのがワインです。

マルケ州におけるワイン作りは古代ローマ帝国時代までさかのぼるほどの歴史を持ちます。

穏やかな丘陵地帯では、“ひとつの丘ごとに、ひとつのワインがある”と言われ、 D.O.C.G.(統制保証原産地呼称)ワインは4種、 D.O.C.(統制原産地呼称)ワインは15種を数えます。

世界的にも有名なのは白ワインのヴェルディッキオ。アドリア海のシーフード料理に適した、酸味のあるさっぱりした辛口のテイストです。

一方、赤ワインの代表はロッソ・コーネロ。適度な濃度とコクがあり、ソフトな味わいを持ち肉料理やパスタに合います。

アスコリ・ピチェーノ地方ではソフトな赤ワイン、ロッソ・ピチェーノがおすすめです。

フード


シーフード料理は海岸地域に沿って非常に良く食されます。

とくにローカル・フードの魚貝類スープ「ブロデット Brodetto」は人気のある一品で、地域ごとにいろいろな種類があります。

伝統的なレシピを持つのは、 アンコーナ、 ファーノ、 ポルト・レカナーティ、 サン・ベネデット・デル・トロントなど。


アンコーナの海軍の伝統に起源をもつ 「ストッカフィッソ・アッランコニターナ Stoccafisso all'Anconitana」も人気のある“干しダラ”の料理のひとつです。


山岳エリアのドライブ・スポットや、お祭りなどのイベント時に人気がある軽食として、野生のウイキョウなどの詰め物をした“子豚の丸焼き” ポルケッタ Porchetta があります。

レストランでは、ウサギとともに調理した「ウサギのポルケッタ Coniglio in porchetta」が楽しめるでしょう。


オリーブに肉や生ハムを詰めてフライにした 「アッラスコラーナ all'Ascolana」は、オリーブ栽培で有名なアスコリ・ピチェーノの名物料理です。


代表的パスタ料理は、ラザーニャの原型ともいえる 「ヴィンチスグラッスィ Vincisgrassi」。

マチェラータ出身のシェフ、アントニオ・ネッビアによって18世紀に生まれた、又は、オーストリア王子ヴィンディッシュ・グラツに由来するなど、この料理に関する起源はいろいろな説があります。

ウルビーノのパスタ料理と言えば、「パッサテッリ Passatelli」。

パン粉、ほうれん草、ビーフのフィレ、パルメザン・チーズと薄いスープで料理された卵入りパスタです。

アスコリ・ピチェーノ県カンポフィローネの街の名物は、ほっそりしたパスタ 「マッケッロッンチーニ・ディ・カンポフィローネ Maccheroncini di Campofilone」。

ソースをよく吸い込むパスタで(250グラムのパスタに600グラムのソースが必要)、どんなタイプのソースとも相性は抜群です。

ドルチェ


伝統的な ドルチェ Dolce (デザート、ケーキ、菓子類)も豊富なマルケ州には、リッチなクリスマスデザートがあります。

イチジクやレーズン等のドライ・フルーツ、松の実、くるみ、アーモンド等のナッツ類、ハチミツ、そして高品質の小麦全粒粉から作られるそのドルチェは、地方によってその呼び名が異なります。

アスコリ・ピチェーノ地方とマチェラータ地方では フルスティンゴ Frustingo 又は ピスティンゴ Pistingo、そしてペーザロ地方では ボストレンゴ Bostrengo。

クリスマスケーキと言えば ピッツァ・ディ・ナターレ Pizza di Natale と呼ばれる、パンの生地をベースにドライ・フルーツやナッツを混ぜて焼いたものも人気があります。


カーニバルの季節には揚げ菓子が多いのが特徴。


チーチェルキアータ Cicerchiata は、小麦粉、オリーブオイル、卵などを混ぜた練り生地を小さく丸めて揚げたものを、さらに煮詰めたハチミツと混ぜ固めたお菓子。


スフラッペ Sfrappe は練り生地をひねって揚げたものです。

元来、その上にハチミツをかけていたのですが、最近は砂糖とケルメス(甘いアルコールの赤色着色料)で仕上げることが多くなりました。

同じような素材で作る カスタニョーレ Castagnole は、オリジナルは栗のような形をしていたことからその名前が付けられたようですが、現在はいろいろな形で作られています。


花のイメージを持つ菓子 スクロッカフージ Scroccafusi は、基本の生地をボール状に丸めて切り込みを入れ、それを揚げた時に花びらが開くように形作ったお菓子。

赤色のケルメスでからめられるので一層、華やかな様相になり、食べるときの気分も楽しくなるお菓子です。


マルケ州のマンマたちが日常よく作るのがチャンベッローネ Ciambellone。直径30cmほどで、ドーナツ状(=チャンベッラ)の形をしたことからそのような呼び名がついているようですが、現在はいろいろな形があります。 季節を問わずに一般家庭でも気軽に作られるドルチェです。